「聞こえているはずなのに、話が頭に入ってこない」
「何度も伝えないと、子どもが指示を理解できない」
そんな困りごとが続くと、
「もしかしてAPD(聴覚情報処理障害)かも…?」と感じることがあるかもしれません。
この記事では、実際にAPDの検査で行われる内容について、言語聴覚士(ST)である夫の解説を交えて、くわしく解説していきます。

普段からAPDの検査をよくしているので参考になると思います!
■ APDってどんな状態?
APD(聴覚情報処理障害)は、「耳」は聞こえているのに、脳の処理の部分で音の情報をうまく理解できない状態のことを言います。
たとえばこんな困りごとが見られることがあります。
- 授業中、先生の話が頭に入ってこない
- 静かな場所では聞こえているのに、騒がしいと聞き取りにくい
- 指示を一度で理解できない
■ APDの検査はどこで受けられる?
APDの検査が受けられるのは主に耳鼻科です。
検査自体は言語聴覚士(ST)が行うことが多く、丁寧に対応してくれます。
ただし、APDの検査には専門的な知識が必要なため、検査を受けられる病院はまだ限られています。
また発達特性との関連も深いため、精神科や小児精神科がある総合病院で実施されることが多いです。
■ どんな検査をするの?
APDの検査は、複数の項目から成り立っており、「聞こえの処理力」をいろんな角度から測っていきます。
言語聴覚士が一つ一つていねいに対応してくれるので、安心して受けることができます。

APD検査では「何が聞こえにくいのか」「どの場面で困るのか」を細かく見ていきます。
■ 実際に行われる検査の例
① 聴力検査(純音聴力検査)
APDは「耳の聞こえ」は正常なことが前提なので、まず最初に一般的な聴力検査をして、耳に問題がないことを確認します。
② APT(聴覚情報処理検査)
日本で広く行われているAPDの標準的な検査です。小学生から受けられます。
- 語音の聞き取り(一音節語を聞いて聞き分けられるか)
- 聞き返しの有無(一度で理解できているか)
- 左右の耳で別の音が流れるテスト(両耳分離聴)
- 文章の理解(文脈を聞いて意味をつかめるか)
APTでは、以下のようなさまざまな聞き取り課題を通して、脳での音の処理のしかたを調べていきます。(※実施内容は施設によって多少異なります)
① 雑音の中の単語を聞き取る(フィギュア・グラウンド課題)
→ 背景に音を流しながら、単語を聞いて答える
→ 雑音下での聞き取りの強さを調べます。
② 両耳に違う音を流す(ディチョティックリスニング)
→ 右耳・左耳に異なる単語が流れ、どちらを聞き取れたか答える
→ 音情報の左右処理の偏りを確認します。
③ 音の高さや順番を聞き分ける
→ 高音・低音の順番(ピッ・ポ・ピッ)を聞き、順にまねする
→ 音の順序処理が得意かどうかがわかります。
④ 聴覚的ワーキングメモリ(数列や言葉の逆唱)
→ 「5、2、8」と聞いて「8、2、5」と言う課題
→ 聴覚情報の保持力や処理速度をチェックします。

難しい検査ではなく、ゲームのように取り組める内容も多いです。子どもが嫌がることは少ないですよ。
③ 必要に応じた追加検査
発達障害との関連も調べるため、以下の検査を行うこともあります。
・言語理解検査
・作動記憶検査(ワーキングメモリ)
・集中力や注意の検査
・WISC検査
■ 所要時間・費用は?
医療機関によって異なりますが、APDの検査全体は約45分〜1時間程度で終わることが多いです。
途中で集中が切れたときは途中で休憩しながら進めます。
またAPDの検査だけでなく聴力検査や発達検査を行うことが多いので、結果を聞きに行く日も含めると3~4回病院に出向く必要があります。
費用については保険適用か自費かで大きく異なるため、受ける前に必ず病院に問い合わせるのが安心です。
■ 結果はどう伝えられるの?
検査の数日〜数週間後に、言語聴覚士や医師から検査結果の説明を受けることになります。

検査結果は、どこが得意・不得意かをお伝えします。学校や家庭でどんな配慮ができるかも一緒に考えていきます。
■ 検査を受けると見えてくるもの
APDは目に見えにくい困りごとだからこそ、検査を受けることで「本人もまわりも理解しやすくなる」ことが大きな意味を持ちます。
子ども場合は主に学習面でのつまづき、大人の場合は職場での困り感などの原因を見つけるのにとても有効です。
■ さいごに
「APDかも?」と思ったら、ひとりで悩まず、専門家に相談してみるのが第一歩です。

困りごとには必ず理由があります。まずは検査で原因を見つけましょう。

